ヒラフにあるスキーイン・スキーアウトの「ニセコ郷ホテル」内に位置する「メイソンリー・ニセコ」は、同レストランにとって日本初の出店であり、世界的なルーツを持ちながらも素材の良さを大切にするというブランドのアイデンティティにとって新たな一章となります。60席のダイニングルームと広々としたバー席を備えたこの空間は、オープンキッチンと気取らない社交的な雰囲気を核とし、洗練されながらも親しみやすいという「メイソンリー」ならではのバランスを体現しています。
インテリアは、現代的な山岳の感性と日本の工芸を融合させ、同時にメイソンリーの起源であるバリ島へのオマージュをさりげなく織り交ぜた、温かみのあるアルプスの隠れ家として構想しました。デザインアプローチでは「触感性」を重視しています。つまり、システム的に仕上げられた空間ではなく、人の手によって形づくられたような空間を目指しています。素材は、使い込まれることで経年変化し、風合いが深まり、柔らかさを帯びていくことを前提に選定されています。
木・石・鋼鉄を基調とした抑制の効いた素材パレットにより、落ち着きのある原初的な空気感を生み出しています。重なり合うテクスチャーや丁寧につくられた造作、やわらかな建築的つながりによって、ダイニング、バー、キッチンの境界に親密さをもたらしつつ、空間全体の視覚的な連続性を保っています。また、クリーンなラインと節度あるディテールによって、素材そのものの表情が空間の主役となる構成としています。
その結果として生まれたのは、静かに人々の交流を促し、素材の質感を感じられる、温かく迎え入れるような空間です。このインテリアは、食事や会話、そして季節の移ろいのリズムを自然に引き立てると同時に、メイソンリーの地中海風料理を、この新しい北国の風景の中にしっかりと根付かせています。